扁桃体を落ち着かせるために摂取するとよい食品

脳の扁桃体

前回ブログ『マインドフルネス』でもお話しましたが、大脳辺縁系にある扁桃体が恐怖や不安に大きく関わっていることがわかりました。
扁桃体が過敏状態になると、小さなストレスにも過剰反応し、常に不安や緊張を感じるようになります。
この扁桃体を落ち着かせるために、摂取するとよい食品を見ていきたいと思います。
扁桃体過敏の要因として、遺伝的に扁桃体の反応性が高い場合や、睡眠不足、疲労、血糖値の変動、栄養不足などが挙げられます。
規則正しい生活や十分な睡眠をとることが基本となりますが、ここでは、栄養素・腸内環境・血糖値・デトックスといった観点からみていきます。

1.扁桃体を鎮静するために必要な栄養素

① オメガ3脂肪酸(EPA/DHA)

抗炎症作用と神経保護作用がある
多く含まれる食品:鮭、サバ、イワシなど

② マグネシウム

神経の興奮を抑える
不足すると不安感の増大やストレス耐性の低下を招く
多く含まれる食品:ナッツ、豆類、緑黄色野菜、海藻など

③ ビタミンB群

神経伝達物質の合成に不可欠
不足すると不安・抑うつ症状が出現しやすくなる
特にB6は脳内GABAの作用が高まり扁桃体の暴走にブレーキをかける
多く含まれる食品:魚介、肉、じゃがいも、バナナなど

④ 亜鉛

抗酸化酵素の構成要素で、抗うつ効果がある
多く含まれる食品:魚介、肉、ナッツ、卵、豆類、乳製品など

⑤ テアニン

脳内でα波を増やしリラックス効果をもたらす、睡眠改善、集中力の向上
多く含まれる食品:緑茶、紅茶、玉露

バランスよい栄養素

2.腸内環境と扁桃体

腸と脳は密接に関係しており、腸内環境の乱れは全身の慢性炎症を招き、それが脳にも影響して不安や気分障害を悪化させる恐れがあります。
腸内で善玉菌が優勢な状態では短鎖脂肪酸など抗炎症物質が産生され、腸粘膜のバリアが強化されます。
腸内で悪玉菌や酵母(カンジダ)が異常増殖すると、腸粘膜が傷み、エンドトキシンが血中に漏出し、慢性炎症を引き起こします。それにより扁桃体過敏となります。

内環境を整える…善玉菌を増やすために摂取するとよいもの

発酵食品

味噌、醤油、お酢、ぬか漬け、キムチ、納豆、チーズなど

オリゴ糖

大豆、ごぼう、アスパラガス、玉ねぎ、トウモロコシ、にんにく、バナナなど 

ヨーグルト

食物繊維

穀類、豆類、さつまいも、ブロッコリー、にんにく、わかめ、ひじきなど

内環境を整えるために控えるとよいもの

高脂肪、高糖質の食事
食品添加物の過剰摂取
抗生物質の乱用

善玉菌の多い腸

3.血糖値と扁桃体

血糖値の急激な変動は、身体にストレスとなり、扁桃体の過敏性に影響します。
慢性的な高血糖や低血糖にさらされることで脳機能に影響が及ぶため、糖尿病患者の25%がうつ状態にあるとも言われています。

血糖の変動を抑えるには

なるべく低GI食品(血糖値上昇が緩やかな炭水化物源)を選ぶ

    →白米より玄米、うどんよりそば など

食物繊維やたんぱく質、良質な脂質を含むバランスの良い食事を心がける
野菜→タンパク質中心のおかず→炭水化物の順番で摂取する
血糖値が一定になるように一日のうちで炭水化物を調整しながら摂取する
  

血糖値の乱高下

4.デトックスと扁桃体

大気汚染物質、農薬、化学添加物、重金属も脳に蓄積して慢性炎症を引き起こし、扁桃体を過敏にさせるものがあります。

・鉛、水銀、カドミウム、ヒ素は身体に必要ない有害物質で、蓄積すると神経毒性を示します。
・農薬や有機溶剤、PM2.5も脳に炎症を与える恐れがあります。
 大気汚染の高い地域は、うつや不安の発症率が高いというデータもあります。
・有機リン系の農薬は神経毒として作用するため、高濃度に暴露されると、不安発作神経過敏を引き起こす恐れがあります。

有害物質による影響を軽減するには

・汚染された魚(大型魚に水銀が蓄積)をなるべく食べない
・古い塗料(鉛含有)を避ける
・水道水や空気の質に気を配る
・有機野菜を選ぶ
・食品添加物をなるべく控える
・十分な食物繊維と水分を摂って便通や尿量を確保する
・硫黄化合物を含む食品(ブリッコリー、キャベツ、ニンニク、玉ねぎ、卵黄など)を摂取し、肝臓の解毒酵素を誘導する
・ビタミンCやビタミンEなど抗酸化栄養素を摂取し、解毒能力を高める

緑黄色野菜

すべてを行おうとすると、苦しくなってしまいますので、私もできることをやっていけたらと思っています。

参考文献:

厚生労働省「栄養とメンタルヘルスの関係」https://www.mhlw.go.jp
国立健康・栄養研究所「マグネシウムの役割と摂取指針」https://www.nibiohn.go.jp