~HSP~ 神経が過敏で傷つきやすい人
HSPとは、Highly Sensitive Personの略称で、感受性が強くて敏感な気質をもった人といわれています。これまで、人知れず苦労し、傷つきながらやっと生きてきたという人も多いのではないでしょうか。神経が過敏である原因は、脳機能の異常、感覚器の異常、不安やストレス、遺伝子要因、環境要因など様々です。また、過敏症には、聴覚や視覚や触覚や味覚や嗅覚に対する感覚過敏と、他者の言動や表情に対して非常に敏感な心理社会的過敏のタイプがあります。

神経が過敏な人はどんな事で困っているのかみていきます。
◆車の音が気になり夜間も眠れない
◆蛍光灯の光が眩しくて勉強や仕事に集中出来ない
◆服の繊維が気になり着る事ができない
◆味が濃いものが食べられない
◆弁当の匂いが苦痛で室内にいられない
◆人に対して顔色を窺ったり傷つきやすい
◆普通の刺激から得られる情報が多くて混乱する
◆人と会うと人の何倍も気疲れする
◆人と会う予定があると前夜から眠れない
◆人付き合いが重荷に感じられ具合が悪くなる
◆人間が嫌い
など
毎日当たり前にある状況で不調が生じてくる為、職場や学校での生活にも支障が及んでしまう事も多いと思います。

神経が過敏な人はどんな特性があるでしょうか。
◆白か黒か極端な結論に走りやすい
◆一つの物や人に苦手意識が芽生えると、様々な物や人へと広がっていきやすい
◆これまで好意に受け止めていた事でも、何か思いに反する事があると全否定してしまいやすい
◆体がいつも硬く、緊張しやすい
◆気分が憂鬱になりやすいだけでなく、頭痛や胃痛や嘔気や眩暈や下痢といった身体面の不調が現れやすい
◆馴れるのに時間が掛かり、新しい変化や環境の変化が苦手で、チャレンジを避ける傾向がある
◆突発的に予定外の事が起きるのが苦手
◆相手を信じたり、素直に受け入れる事が出来ない
◆親密な関係を築いたり維持する事が難しく、安心感を保ちにくい
◆肯定的に見られない為、前向きに考える事が出来にくい
◆脳に余計な情報まで入ってしまう為、脳が疲れやすく、不注意によるミスや混乱が生じやすい
◆肝心な事に集中出来ず、相手の話や文章が頭に入ってこなくなる
◆心が傷つきやすいだけでなく、長く引きずりやすい傾向がある
など
人との関わりが深い社会生活が困難になってしまうところもあると思います。

では、過敏さの特性とどのよう付き合うと生きやすいでしょうか。
◇不要な刺激を減らす
◇耳栓やノイズキャンセリング機能のあるイヤホンを使用する
◇部屋の明かりを好みの照度に調整する
◇机の上や室内に物をなるべく置かない
◇SNSやネットの情報の閲覧は必要最低限にする
◇自分の頭の中から沸き起こる刺激に対しては、書き出す事で、頭の中を整理する
◇楽しさを感じられなくなったり重荷に感じた時は目標を下げ、余裕を持って行えるようにする
◇イライラや疲労を感じたら、一旦休む
◇尊敬出来る人の振る舞い方を真似る
◇やりがいのある活動に取り組む
◇困った事が起きた時こそチャンスと捉える
◇起きた事はコントロール出来ない為、コントロール出来る事だけを合理的に考えて行動する
◇人や物事にはすべて両面がある事を理解し、0か100かで考えない
◇分かりあえない相手とは、この人はこういう人だと割り切り、深入りは避ける
◇特定の人が苦手だからといって、人間全般がだめだと考えず、あの人とは合わないのだと考える
◇服薬、マインドフルネス、瞑想、ヨガ、リラクゼーションなどにより、神経の興奮を抑制する
◇ありのままの自分を受け入れる
◇出来ない点や悪化した点ばかりに目を向けずに、良い点や出来る事に目を向ける

神経が過敏な人は、人の気持ちを汲んだり、他者が気付きにくい事に気付けるなど、相手の立場に立ったコミュニケーションが出来る人です。全体を見たり、空気を読む事が出来ます。また、思考や表現力も豊かで、芸術的な才能や文学的な才能を持っている人も多いです。
過敏で繊細な特性は、誇れる素晴らしい面でもありますので、自分を責めたりせずにいつも評価して認めてあげてください。そして、自分を尊重し、自分が感じている事を大切にしてください。
自分の内側が整い、エネルギーが満たされてくると、外側にも変化が出てきます。
何にも乱される事なく生き生きと、本来のありのままの自分である喜びを感じながら暮らしていけます事を願っております。
参考文献:岡田尊司著『過敏で傷つきやすい人たち HSPの真実と克服への道』(幻冬舎新書)