尊大型ASDの人との付き合い方

コントロール出来ない怒り

前回、ASDの特徴を持つ人との付き合い方について、お話しました。ASDをさらに5つのタイプに分けてみていきます。

① 奇異型…積極的に他者に働きかけていくタイプ

一方的であったり、こだわりを押し付けてしまう事がよく見られます。そのため、行動力はありますが他者とのトラブルも多くなってきます。

② 受動型…受け身の状態で自己が不明確で流されやすいタイプ

奇妙さは少なく目立たず静かで、トラブルは少ないです。一方、相手に利用されたり、支配・搾取される危険が強いです。

③ 孤立型…まるで他人がいないかのように、自分の世界だけで生きるタイプ

好みや服装などの独特で、目立つことが多いです。雑談が苦手で、基本的には一人での生活を好みます。

④ 尊大型…こだわりを強く押し付けたり、他者を下に見て圧をかけるタイプ

ASDがもとにあり、そこに「自己愛性パーソナリティ障害」が重ね着した状態です。自分の得となることだけを効率的に追い求めるため、非常にトラブルが多いです。

⑤ 大仰型…元々別のタイプだった人が、意図的に適応を図る結果、様々な相手に対し丁寧になったタイプ

不自然な部分が残り、周囲の反応は微妙です。一種の過剰適応の面があり、ストレスやうつ等の精神不調になることもあります。

噴火した怒り

尊大型ASDについて

今回はこの中から、周囲に最もストレスを与える尊大型ASDについて、付き合い方をみていきたいと思います。
尊大型ASDの人には、私自身が長年とても悩まされました。職場に尊大型ASDと思われる人が居たのですが、当時は尊大型ASDの事を知らなかったため、どう関わろうとしても上手くいかず、毎回打ちのめされていました。今思えば、特殊な人だったんだ、で済みますが、とても苦しんだので、皆様に付き合い方を知っていていただきたいと思います。

尊大型ASDの人が威圧的な言動をする原因

まず、威圧的な言動をする原因をみていきます。
原因としては、過去に親や周囲の人との間で、「威圧的な言動(怒って強く押し通す)をすると相手が従ってくれる」という間違った学習をしてきてしまった事が考えられます。

尊大型ASDの特徴

尊大型ASDの特徴としては、

・自分の価値観だけで判断し、その自分の価値観から外れる事に対して非難したり排除(拒絶)する
・自分の中だけにある価値観を、正当化するために威圧的な言動で攻撃、主張する。
・想像力が欠如し、人の気持ちを想像することや先の展開を予測できない
・衝動性が高く、感情のコントロールが出来ない
・自分に非があった時は人のせいにする、もしくは無かった事にする
などがみられます。

いつも怒っているASDの人

尊大型ASDの人とどう付き合うか

それでは、尊大型ASDの人とどう付き合っていったら良いかみていきましょう。

・一定の距離を確保し、本人の意見に流されない
・職場ではチームで対応する
・共感せずとも黙って話を聞く(批判や否定はしない)
・興奮している時は、その場を離れる(更なるトラブル防止のため)
・一人にさせたら、できれば静かな場所で落ち着かせる(感情との温度差を実感させる)
・人のせいにして自分の逃げ場を確保していた場合、それを論破して無理やり反省させようとしない(パニックを起こす恐れあり)
・本人が冷静になったタイミングで、要点を絞って伝える(視覚的に伝えると良い)
・人格否定をしない、「普通は~」ではなく「私は~と感じた。」と伝える
・『ネガティブな感情を自己処理して落ち着く事が出来ない』と理解する
・褒めて動かす(承認欲求が強いため)

職場では一人で立ち向かわず、情報共有をしながら関わる事が大切ですね。
もし、どうしてもストレスになってしまう場合は、その人と関わる必要のない環境で仕事ができるように、上司に相談すると良いでしょう。
我慢をせずに、適切な距離を置いて関わっていただく事を、切に願います。

参考文献:湯汲英史監修『心と行動がよくわかる図解発達障害の話』(日本文芸社)